事業計画での市場規模推定のコツ!フェルミ推定とは?

hand writing mathematical formulas on a blackboard 補助金
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はじめに

中小企業にとって大事な補助金ですが、申請に必要な事業計画書は準備するのが大変ですよね。別の記事(補助金のための事業計画書作成の3つのコツ!)でも事業計画書のコツを紹介していますが、この記事では事業計画作成に役立つ「フェルミ推定」に掘り下げて紹介します!

フェルミ推定とは?

フェルミ推定は、限られた情報から大まかな答えを導き出す推定手法です。具体的なデータがない場合や、詳細な計算が難しい場合に、論理的思考をベースにした大まかな答えを得るために使用されます。事業計画書の中では、市場規模予測・売上想定など何らかの「予測」によって、ビジネスの計画の納得感を磨きこむことが重要です。フェルミ推定を使うことで、大まかながらできる限りの予測を目指してみましょう!

フェルミ推定の手法は、中小企業だけでなく、世界的な大手コンサルティングファームでも取り入れられています。例えば、マッキンゼー、BCGなどの企業は、クライアント企業への戦略提案や市場分析の際、限られた情報から迅速に大まかな答えを導き出す必要があります。

今回は、実際にコンサルティング会社でもフェルミ推定を用いてた著者が、やり方を紹介したいと思います!

フェルミ推定の実例

今回は、栃木県でリサイクルビジネスを始める事業者がいたとして、その市場参入を検討する場合の市場規模特定を考えましょう。それに際する、「栃木県の家庭における年間のペットボトル消費量」の推定にトライしてみましょう!

a. 計算式への分解

「栃木県の家庭における年間のペットボトル消費量」を算定するための計算式を、今回はボトムアップ(積み上げ)で考えてみましょう。

栃木県の家庭における年間のペットボトル消費量=栃木県の家庭数 × 1日のペットボトル消費数 × 365日

とシンプルに分解することができます。家庭数・消費数については、一律の数字を使うこともできますが、今回はより詳細に検討するため、セグメント分けをしてみましょう。

b. 各数値の調査・推定

a.で作成した計算式の各項目(「栃木県の家庭数」、「1日のペットボトル消費数」など)の数値を調査・推定していきましょう。消費者アンケートや統計データを調べることで、この数値をできるだけリアルに近いものにするのが望ましいですが、情報が取れない場合は、できるだけ妥当な仮定を設定することが望ましいです。

たとえば、「一人暮らしの若者」は、「外出時にペットボトルの飲料を購入することが多いのでは」、一方、「中高年の一人暮らし」は「健康を意識して家での水道水や麦茶の摂取が多いため、ペットボトルの消費は控えめになるのでは」といった考えで、「一人暮らしの若者」の方がペットボトルを多く購入する、という仮定を置いてみる等、「意味のあるセグメントに分けて、それぞれの数値を仮定する」ということが大事です。

栃木県の家庭数を100万世帯と仮定した上で、それぞれのセグメント、日々の消費量を下記の表のように今回は仮定しました。実際には、統計データ・消費者調査等を用いて、よりリアルに近いデータを使うことが多いですが、今回は省略します。

c. 計算式での算出

上記の表に基づき計算することで、

栃木県の家庭における年間のペットボトル消費量 = 3,650万本 + 1億8250万本 + 2,555万本 + 2億9200万本 + 7,300万本 = 6億955万本

となります。仮定には不確実性があるので、細かい数字まで正確に算定するのではなく、桁数を推計できるくらいの粒度を目指すのが望ましいです。今回ですと、5億~10億本/年といった程度でしょうか。

フェルミ推定のコツ

最後にフェルミ推定のコツを紹介します!

  1. シンプルに分解する
    複雑な問題も、小さな部分やシンプルなステップに分解することで、それぞれの部分を簡単に推定しやすくなります。
  2. 既存の統計データを活用する
    知っているデータや統計をベースに推定を行うことで、より現実的な数字に近づけることができます。
  3. 変数に範囲を設定し、不確実性を考慮する
    正確な数字を出すのが難しい場合、変数の最小値と最大値の範囲を設定して、それを最終的な市場規模推定に反映させて、「市場規模はxx~xx億と想定」と記すのも一つの手です。

5. まとめ

本記事を通じて、具体的なフェルミ推定の実例とそのコツについて紹介しました。事業計画作成は人手・予算の限られる企業にとっては、決して簡単なものではないでしょう。しかし、フェルミ推定という手法を知ることで、限られた情報からも合理的な推測を行うことが可能となりより、採択率を高める事業計画に磨きこんでいきましょう。

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