はじめに
公的補助金は多くの中小企業経営者にとって大きな支援の一つです。しかし、その申請方法や採択の難しさはどの程度なのでしょうか。この記事では、公的補助金の採択率、申請書作成時の選択肢とそのメリット・デメリット、そして自分で作成する際の注意点や参考書籍を紹介します。(補助金の概要・種類については別記事を参照)
公的補助金の採択率って?
中小企業庁主催の主要な補助金の一つである、ものづくり補助金の採択率を見てみましょう。過去14回にわたる実施の採択率は年度ごとのばらつきはあるものの、直近は50~60%程度で推移しています。「思ったより高い採択率だから、うちの会社も出せば当たるかもしれない!」と思われた方もいるかもしれません。
しかしながら、次の章で説明するように、中小企業診断士・行政書士などのプロに依頼し、作成している会社も少なくないため、獲得に向けては相応の時間的・金銭的投資が必要になります。
申請書を作る際のアプローチ
この章では、申請書作成(特に、肝となる事業計画書の作成)における3つの主要なアプローチについて説明します。皆さんの会社の予算・時間的制約を踏まえて、望ましいものを選ぶことが大切です。
例えば、ものづくり補助金の事業計画書の作成時間と採択率の比較を見ると、平均採択率が50%を超えるのは「30時間以内」より長い作成時間の企業群であることから、いかに準備に時間をかける必要があるか、というのが見て取れます。もし、予算が許せば、プロを活用し、作成を効率化することもよいでしょう。
下記、代表的な4つのアプローチです。
- 自社での作成
ノウハウがある場合は、自社で作成することも可能です。近年は、補助金についての書籍も多数出版されているため、そちらを参考にすることで採択率を高めることができます。
特に、おすすめなのは、日本一わかりやすい!個人事業主・中小企業のための補助金獲得の教科書で、やるべきことが必要十分に分かりやすくまとまっています。
ただ、採択される補助金申請書の書き方のように、Kindle unlimitedで無料購読できる書籍もあるため、まずはお試しで無料のものから読み始めることもよいかもしれません。 - クラウドソーシングの活用
近年は「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングのサイトでも補助金作成の依頼が可能です。計画書作成だけでなく、添削・相談等といった多くの提案の中から最適な業者を選択することができますが、専門企業への依頼と比べると品質の当たりはずれは生じます。
ランサーズでの検索例 - 専門企業への依頼
中小企業診断士・行政書士などが提供する補助金申請支援のサービスを活用することで、より効率的に高い採択率を目指すことができます。例えば、補助金・助成金採択支援どっとコム、プランベースといった企業があります。特に、プランベースは東大発ベンチャーという特徴があり、他社とは違ったバックグランドを持つ社員も多く、今後の拡大が期待される企業です。
専門企業への依頼は、金銭的負担がどうしても高くなってしまいますが、適切な計画書の書き方を知るために初めての申請でのみ使う、といった考えも良いでしょう。
以上の3つのアプローチをまとめると下記の通りです。
方法 | 金銭の投資 | 時間の投資 | 採択率 |
---|---|---|---|
1.自分での作成 | 小 | 大 | 低~中 |
2.クラウドソーシングの活用 | 中 | 中 | 中~高 |
3.専門企業への依頼 | 大 | 中 | 高 |
まとめ
公的補助金取得の道は険しいものかもしれませんが、適切な準備と戦略で成功の確率を上げることができます。上記のステップやヒントを参考に、補助金取得を目指しましょう。