補助金のための事業計画書作成の3つのコツ!

contemporary gradient handrails perspective 補助金
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1. はじめに

ものづくり補助金をはじめとした公的補助金の取得には、事業計画書の提出が欠かせません。以前の記事(補助金申請書作成の3つのアプローチ)で触れたように、その作成には30時間以上かける企業の方が採択率が高いといったデータがあり、各社力を入れていることが分かります。
作成にあたり、クラウドソーシングや専門企業に依頼する方法もありますが、費用がネックとなることも。そこで、この記事では、自力で事業計画書を作成する際に、少しでも採択率を高めるためのポイントを3つ紹介します。

コツ1:採点基準の徹底的な把握

公的機関は公平性を確保するために、明確な採点基準を設けて評価します。私がコンサルタントとして官公庁の案件に携わった経験から考えると、各項目の点数を機関内で決定し、その合計点の比較で補助金の採択が行われているはずです。 このため、採点基準が要求する項目を事業計画書に漏らさず明確に盛り込むことが大前提です。その上で、各項目について、詳細にわたり記述することが次のステップになります。
例として、ものづくり補助金(16次締切分)の公募要領を見てみます。

ものづくり補助金の審査項目・加点項目の一部

事業化面の②として、「事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与する ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場 ニーズの有無を検証できているか。」という項目がありますが、これは「市場規模を算定」だけでは部分点となる可能性があり、「市場ニーズの有無を検証」まで含めるべきです。
このように一つの項目であっても、より詳細に採点基準が分かれている可能性があります。

コツ2:ファクトを重視した説明

数字や具体的なデータを元にした説明は、評価者に信頼感を与えます。例えば、下記の2つではどちらに納得感を覚えるでしょうか?

例1:「高齢化が進んできている日本国内において、高齢者に対してアプローチすることで、他社からシェアを奪いとり、8億円程度の売上を目指します。」
例2:「当社が目指す市場規模は、xxxというレポートによると100億円と想定されており、その内、65歳以上の高齢者の想定規模40億円のセグメントにおいて、初年度で8億円(20%シェア)を想定しております。そのために、単価としては、xxx円を想定しており、これは下記の通り競合3社と比較しても、、また、実際に想定顧客50人に聞き取りをしたところ、、」

これは極端な例示ですが、少しでもファクト(データに基づく数字・定性的な情報)を列挙することで説得感を持たせることができます。 しかしながら、市場規模・マーケットニーズがすべからく情報として手に入る訳ではありません。
ですので、下記のような手順で情報収集をするのが望ましいです。

①官公庁が出している統計レポートを参考(信頼性が高い)
②民間企業が実施している調査・アンケートを活用(信頼性に注意)
③自社で独自にアンケート・顧客調査を実施(生の声を拾っていることが評価されることあり)
④「フェルミ推定」と呼ばれる手法で、前提を置いて算定

4点目の「フェルミ推定」は、算定対象の数字が不明確な場合に式を細かく分解し、対象を算定する手法で、大手コンサルティング会社でも市場規模の概算に使われています。
例えば、携帯電話の市場規模を算定する場合、
「 市場規模=国内人口×加入率×一人当たり平均加入台数×月契約単価×12か月」といった式になり、「月契約単価は人によってプランが異なるので、不確実性が高そうだな」、「加入率は総務省がレポートを出してそうだな」、ということがまず分かります。 その上で、「市場規模=国内人口×加入率×一人当たり平均加入台数×月契約単価×12か月という式で市場規模の算定を行った。月契約単価については、5000円と仮定したが、今後ヒアリング等を踏まえ要精査」という形で、手に入らない数字がある中でも、一定程度の納得感を維持できます。

コツ3:説得感のあるストーリーの構築

ファクト(データに基づく数字・定性的な情報)が揃った上で、ストーリーに落とし込むことも重要です。 例えば、ある補助金では「新規性」が強く求められますが、中小企業が取り組むべき新規事業が本当の意味で全くの新規であることは稀です。これは、採点者側も理解していることです。
ですので、「類似製品で既存の競合はありますが、私たちの独自の技術やアプローチにより、xxといった機能を付与することで市場に新しい価値を提供できる」といった形で、「ほぼ新規」感を打ち出したストーリー展開が考えられます。 ストーリーとしての完璧さを追い求めるのは限界があるので、「まあこれなら点数をつけてあげるか」と採点者が思うラインを目指すのが大事です。

まとめ

補助金のための事業計画書作成は、ただ情報を羅列するだけでは十分ではありません。採点基準の徹底的な把握、ファクトベースの説明、そしてストーリーの構築が求められます。これらのコツを活用し、より効果的な事業計画書の作成を目指しましょう。

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